リストマーク 奥多摩湖ロープウェイ(みとうさんぐち駅)(2003年04月)

写真0:みとうさんぐち駅プラットフォーム

 この物件も廃墟マニアの間では有名である。東京都内にある廃墟として、多くの写真集に掲載された場所だ。奥多摩湖ロープウェイは、昭和36年10月に、日本ケーブル株式会社が施設した観光用ロープウェイである。三線交走式普通索道として、奥多摩湖の川野とその対岸600m余りを結んでいた。WEB上に掲載された情報では、開業後数年を経ずして、経営的な問題から廃止になったそうである。その後駅舎と施設は取り壊されることも無く、40年以上に渡り放置されている。

 ロープウェイは「みとうさんぐち駅」と「かわの駅」で構成され、支柱は2基、最大36人乗りのゴンドラを3m/sのスピードで輸送することができた。ここに掲載した「みとうさん口駅」は、今はもう使われていない旧奥多摩湖周遊道路の料金所跡の裏山を登ったところにある。東京方面から向う場合、国道411号を左折し、深山橋を渡り国道139号に入った後、すぐにまた左折したところになる。



住所は東京都西多摩郡奥多摩町川野付近、Google Maps上での位置は、下記の通り。
奥多摩湖ロープウェイ(みとうさんぐち駅)


写真1:みとうさんぐち駅へのアプローチ

写真2:崖っぷちに建つ「みとうさん口駅」

写真3:みとうさん口駅に佇む「みとう号」

 みとうさんぐち駅であるが、接近は極めて困難だ。雨の翌日とか、積雪がある季節には、まずアプローチすることは不可能だと考えた方が良いであろう。廃料金所の裏側には、わずかに石段が残されている。ここを登って行くのであるが、途中から道は完全に消失し、急な斜面を木の枝につかまりながら登らなくてはならない。非常に危ない場所なので、それなりの覚悟が必要。なお、もし行かれる場合には、あくまでも自己責任で行動するように。

 斜面をどうにか上りきると、プラットフォームに宙吊りになったままのロープウェイ「みとう号」が、ツタに絡まれたまま佇んでいる姿を拝むことができる。この駅は場所が場所だけに訪れる人も少ないようで、荒れるに任せている。そういった意味で、正統派廃墟と言えるであろう。


写真4.プラットフォームに佇む「みとう号」。右側は道路に向って急な斜面になっている。みとうさんぐち駅に辿り着くためには、この斜面をなんとかして登りきらなくてはならない。ハードな道のりだ。


写真5.駅構内は枯葉やツタで荒れ放題だ。画面向こう側が、対岸のかわの駅方面。ゴンドラはこのようにドアも開け放されたまま放置されている。乗っても落ちることは無いが、一部床に穴が開いているので、乗らないほうが賢明であろう。


写真6.みとう号の接写。窓ガラスはほとんど残っていなかった。いかにも昭和30年代を感じさせるデザインである。


写真7.みとう号の車内。WEB上の情報に寄れば、車内には座席は無く、立ったまま乗車していたようである。定員は36名だったそうだが、これはおそらく2車両での人数だと思われる。


写真8.懸架部分のアップ。屋根を見てびっくり。巨大なスズメバチの巣があった。これを見てもわかるように、ここには近づかない方が賢明だ。このWEBを見てもし行こうと思われた方は、スズメバチに刺される危険があるということを忘れないように。行かないほうが無難だよ、きっと。


写真9.改札口方面を見たところ。対岸のかわの駅も、ここと同じような構造になっていた。機能的な駅構内が、今見ても新鮮である。


写真10.改札口方面からロープウェイ乗り場方面を見たところ。今回の取材では、狭い場所での撮影が多いため、16.8mmという超広角のワイドコンバージョンレンズを用いて撮影している。左壁面には、奥多摩湖ロープウェイの銘版が架かっている。右側は、おそらく券売り窓口。


写真11.駅構内に架かっていた銘版。これと同じものが、対岸のかわの駅にも架かっていた。


写真12.駅入り口部分の施設内部。正面が券売り場。突き当たりの奥にはトイレがある。画面右側が正面入り口。ここはちょっと気持ちの良い空間になっている。


写真13.メインエントランスの中に残されていた、指針の無い掛け時計。秒針と思われるものの残骸だけが残っていた。いかにも廃墟らしい残存物。画になる風景。


写真14.正面ホール右側奥にあるトイレの中。ご覧の通り荒れ放題だ。小3、大2の構成。


写真15.駅舎正面入り口を外から見たところ。右側に正面玄関、左側にロープウェイのプラットフォームがある。これを見て疑問に思ったのだが、一体開業時にはどのようにしてこの駅舎にアプローチしていたのであろうか?まさかあの急な斜面にハシゴがかかっていたワケは無いだろう。本来なら、この正面玄関口に何らかのアプローチの跡があるハズであるが、今となっては全く残っていない。


写真16.正面玄関前から奥多摩湖を望んだところ。取材当日は初夏を思わせる暖かい日で、風も無く穏やかだった。正面には2本施設されている支柱のうちの1本が見える。この支柱は、駅舎の下の国道沿いに設けられた駐車場の内部に立っている。


写真17.駅舎正面玄関。いかにも廃墟然としている。木製枠のドアには、ガラスは全く残っていない。


写真18.「みとうさんぐち」の駅名板。三頭山は、この駅舎の背後の奥深くにある、標高1531mの山の名前。駅名からすると、いかにもこの駅の裏側あたりに登山道があるような感じを受けるが、山頂までははるかに距離があり、登山口駅というのにはほど遠い。なぜこのような名称を付けたのかは、若干疑問が残る。


写真19.駅構内の機械室内部に置かれた巨大な装置。数多くのボルトを使い、ケーブルをコンクリートの土台に固定する装置だった。同じ装置が、左右2基設けられている。この場所は非常に暗い場所で、ファインダーもほとんど見えないため、撮影もストロボを頼りに見当で行なった。


写真20.同じく機械室内部に残されていた巨大な装置。向って左側がプラットフォーム。


写真21.みとうさんぐちのプラットフォームの端から対岸を望む。ケーブルは支柱の向こう、奥多摩湖の対岸まで、今でもきちんと残っている。


写真22.駐車場構内に残る支柱。ツタがからまり、これも立派に廃墟となっている。支柱全体は錆びて真っ赤であるが、構造的にはまだまだ健在そうだ。



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