吾妻ひでおの「失踪日記2 アル中病棟」表紙。とにかく、この表紙の描き込み方からして、すさまじい。作品全体を、文字通り俯瞰している。

■失踪日記2 「アル中病棟」 (2013/10/27)

 500の整備を終えて帰ってきたら、アマゾンから吾妻ひでおの「失踪日記2 アル中病棟」が届いていたので、一気に読む。

 吾妻ひでおの「失踪日記 全部実話です(笑)」は、以前本コーナーでも取り上げたことがあるが、それこそ鼻血が出るほど面白かった。あれから8年、その続編とも言える作品が、満を持して帰って来た。

 前回の作品は、主人公である吾妻ひでおが、色々あった末に、ついにアル中の幻覚症状が出たため、専門病院に強制入院させられるところで終わっていた。今回は、このアル中病棟に登場する、奇々怪々な人物と、日常からかけ離れた日々の生活の様子、断酒の苦しみが、詳細に綴られている。

 8年間かけてきただけあって、コマの描き込みがスゴい!連載作品では無いので、締め切りという概念が稀薄だったと後書きのインタビューで書かれていたが、とにかく時間をかけて描き込んでいる。しかも、登場人物の数が半端では無い。ロシア文学かよ?これだけ多数の人間を描き分けるという才能は、さすがとしか言いようが無い。コミック版「魔の山」ですな。。。

 前作もそうだが、今回の作品も含め、筆者がこれまでに読んだコミックス10選に入る傑作だと思う。かなりマニア向けの作品だが、今のチャラチャラした作品には無い、漫画の基本が、ここにある。改めて言おう。傑作である。



吾妻ひでおの「失踪日記2 アル中病棟」裏表紙。表紙と一体の絵柄になっている。




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