「iPadのパチモン?」として新聞やニュースで話題になったM003。実はパチモンでも何でもなくて、OSにAndroidを搭載した立派なスレートPCなのである。ただ単に意匠、造形が似ているということで、一躍有名になってしまった。最もパッケージは「パクリ」と言われても仕方無い出来。メーカーは「EKENN」であるが、本機には「EKEN」のロゴは一切入っていないという、相変わらずの「謎ロイド」ぶりを発揮している。
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■謎ロイド#3 M003(2010/07/11)

 今回ご紹介する「謎ロイド」端末は、筆者が初めて入手した謎ロイドである。あれは2010年5月28日のiPad日本解禁後間もない6月上旬のことであった。新聞やニュースで話題となっていた「iPadそっくりさん」を中国工場から直輸入代行している所から、試しに1台入手してみた。輸送に一週間ほどかかったが、無事届く。価格は当時北京で800元(7/11現在の換算レートで、約10,473円:1元=16.3円)とのことであったが、これに運賃約3,000円を可算し、14,000円程度だったように記憶している。まあ、激安ですな。

 上述したように、筆者が謎ロイド端末に触れたのは、このM003が初めてであった。梱包を解いた時の驚きは、今でも忘れない。まんま「試作品」であった・・・液晶保護のビニールを取り剥がしても、なんか表面が凸凹している。そう、タッチセンサの貼り付けが雑なのだ。思わず「まだ保護シートが付いてるんかい!」と思ってタッチセンサを剥がそうとさえしたものだ。それくらい異次元の商品だったのである。

 今はもう慣れっこになってしまったが、やはりiPadを使っていると、こういうオチにはビツクリするね。。。HOMEボタンの造形、デザインは、まんまiPadであるが、丸いボタンに描かれた四角が、妙に中心点からずれて印刷されていたりして、なかなかどうしてツッコミ所満載だ。本体側面に付いている音量調節ボタンと電源ボタンも安っちい。裏面は、これまた安っぽいプラスチック製で、重厚感のカケラも感じさせない潔さである。

 この端末をEKEN製造であると言いたいところなのだが、実は本体のどこにもEKENのロゴが無い。裏側に印刷された銘板には「ID No.:」と記載されているだけで、肝心のNo.は空欄。かろうじてモデルナンバーが「M-003」であることが判る。思うにEKENがOEMとして出している製品なのかも知れない。こんなところも地味に謎で好感が持てる。スペックであるが、相変わらず憶測の域を出ないが、下記のようだと推定される。

項 目
内 容
OS Android Ver. 1.6
カーネルバージョン Ver. 2.6.29
WMT SDK バージョン Ver. 1.7.2
CPU VIA WM8505(800MHz:実クロックは533Mhz)
システムメモリ 128MB DDR2
内蔵メモリ 2GB Nand Flash
液晶サイズ 8インチ TFT タッチパネル
解像度 800 dot × 600 dot
カメラ 無し
有線LAN 無し
無線LAN WiFi 802.11b/g対応
バッテリー 充電式(2,400mAh):使用時間 2〜3時間程度
本体サイズ 約 220 x 180 x 15 mm
重量 600g
付属品 本体・ACアダプタ・取扱説明書(英語/中国語)
メモリカードI/F micro SDカード×1(128MB〜32GB)
ボタン・スイッチ Power、Volium、Home
マイク 内蔵
スピーカー 内蔵(ステレオ:出力端子付き)
バイブモード 無し
USBコネクタ 1基内蔵
ACアダプタ仕様 IN:AC100 〜 240V、OUT:DC9V、1,500mA


これが物議を醸したパッケージ。右がApple iPad、左がM003。M003の方が、印刷が粗い。画像の相違点は、右下アイコンの文字が「iPed」になっている所だけ。このような事情もあり、以降この端末は「ペッド」と呼ばれ、ユーザーは「ペッド野郎」とも言われている。まあ、本体はともかく、このパッケージは「パクリ」以外の何物でもないでしょうねぇ。。。
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Apple iPadとM003の箱を比較してみた。驚いたことに、M003の箱が厚い。妙に厚い。でっかいことは良いことなのですかそうなんですかそうなんですねそうですね!?
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お約束のiPadとのツーショット。この写真のキャプションに、どちらがiPadかを記載するような無粋なマネはしない。M003の表面が妙にテカっているのは、例のフニャフニャに貼られたタッチセンサパネルのため。予め覚悟しとかないと、実物見た時にぶっ飛ぶよ・・・
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M003本体下部に並んだ各種スロット。この個体だけの問題なのかもしれないが、各スロットには一切記号が無いため、どれが何だか非常にわかりずらい。両側は内蔵のステレオスピーカーである。左より、電源コネクタ端子、おそらくリセット端子、microSDスロット、ドックコネクタ、外部スピーカー出力端子、ネジ(プラスネジ)、USBコネクタと並んでいる。
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本体裏面。銘板はシールでは無く本体に直接印刷されている。ID No.欄が空欄で、EKENのロゴも見当たらないため、おそらくはOEM用と思われるのだが・・・EKENの同製品には「M003」というモデル名称になっているが、この個体には「M-003」とハイフンが入っている。細かいところであるが妙に気になる。
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本体裏側に印刷された銘板のアップ。
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本体側面に付いている音量調節ボタンと電源ボタン。押すとガクガクして安っぽい。音量調節ボタン左右の穴は、おそらく内蔵のステレオマイクと思われるが、何分外側に何の記載もないので「不明」。
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micro SDカードスロットに、手持ちの2GBのSDカードを入れてみた。スペックシートでは、128MB〜32GBまでをサポートしているとのことなので、SDHCも認識するようだが、試してないので判りません。
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本体下部側面に並んだ各種I/Fをアップで。
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M003のメインウィンドウ画面
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M003のコントロールパネル画面
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M003のウェブブラウザ。ブラウザには「Google chome-lite UCWEB Browser」が使用されている。
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メインウィンドウ画面を縦表示にしたところ。Gセンサが内蔵されているので、本体の向きに応じて画面が回転するのは結構なのだが、如何せん動作がトロいし、iPadと異なり縦、横の向きが固定されているので、時としてとんでもなくトンマな画面配置になる。
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本体縦位置で表示した「設定」ページの画面。
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M003の端末情報画面。
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Google Mapも大丈夫。
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WEB IME simejiの解説画面を縦表示にしたところ。
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WEB IME simejiのマッシュルームキーを押したところ。
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Androidの「ES File Explorer」で、マシン内部のファイルやフォルダを表示させたところ。iPadと異なり、マシンの内部構成が見えるというのは、DOS/V野郎にとっては(Linux野郎もそうだが)安心感がある。
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「YouTube」アイコンをクリックし、検索を行ったところ。このようにサムネールは正常に表示されるのであるが、本編を再生しようとすると、、、できない。。。この手の謎ロイド端末の謎の一つに、YouTubeを再生可能なファームとそうでないものが存在することがあげられる。「謎」の「謎」たる所以でる。
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「YouTube」をブラウザ上から直接アクセスしたところ。上記の「YouTube」アイコンのアプリを使用せず、通常にブラウザアクセスしてみる。ご覧の通りサムネイルは正常に表示されるのだが・・・
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Flash Playerをアップグレードしなくては閲覧できないとのアラートが出る。そこでアップグレードしようとAdbeのサイトへアクセスすると・・・
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該当する端末用のFlash Playerが無いということで再生不可。おそらく本体ファームのアップデートで対応可能と思われるが、本体ファームアップデートは失敗するとそれこそ「ダルマ」になるので、そこそこ怖い。なお、他のこなれた謎ロイド端末では、YouTubeは問題無く再生できているので、この個体特有の現象と思われる。
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 上述したが、筆者が初めて謎ロイドを購入した際、このM003の洗礼を受けたが、その衝撃はデカかった。無意識のうちに、iPadを標準と思い込むバイアスがかかっていたのである。しかし、冷静に考えれば、iPadと同等の品質を得られるワケが無いではないか!価格的に1/6程度の端末なのだから。

 でも、ネットを使った各種サービスは、速度こそ遅いが使える。一応、WEBとメールはできるし、例のYouTube再生の問題も、ファームアップデートで対応は可能と思われる。事実、他の謎ロイド端末では、YouTubeを何ら問題無く閲覧できているし。。。本個体は、極めて初期に入手したものだから、その辺りの作り込みが未熟だったのかもしれない。

 画面がデカい分、表示データ量がかさむのか、前記「7" MID」と比較して、動作はよりもっさりしている。しかし、一画面に表示できる情報量は多く、これはこれで有りのサイズかもしれない。細部の作り込みをもう少し繊細にデザインし、筐体に高級感のある素材を用い、CPU速度を倍程度速くしてタッチセンサの感度を上げれば、そこそこ行ける端末になる可能性を秘めている。今年の秋くらいには、そういった端末が、ほんのちょっと割高で、でもiPadに比較するととんでもなく安い値段で出てくるだろう。これから競争と淘汰が開始されるのだ!

(追記)
本機は、Android OS立ち上げ時に、画面右下に以下のクレジットが表示される。

 Android version: 1.6
 kernel version: 2.6.29
 WMT SDK version: 1.7.2

取扱説明書は、英語と中国語の二カ国語対応のものが付属する。ご覧のように、表ページから見ていくと中文、裏ページから見てゆくと英語といった構成だ。

取扱説明書のもくじと外観写真掲載ページ。

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