SONYのプレスマンシリーズ。左側が後の初代ウォークマンの原型となる「TCM-100」。右側がより洗練されたモデルである「TCM-7」。共に報道関係者に良く使用されたプロモデルであった。
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■プレスマン (2010/06/12)

 ウォークマンのコラムを書いていて、そういえばウチにはウォークマンの前身に当たる「プレスマン」もあったよなぁ・・・と引っ張り出してきたのがこれである。主として報道関係者用に発売されたプレスマンシリーズ、「TCM-100」と「TCM-7」。ここの記載によると、プレスマンの発売は1977年となっている。残念ながらこのページにはTCM-100の写真のみ掲載されており、TCM-7は載っていない。

 プレスマンシリーズそのものは、ユーザ層が限定されていたため、余り後生に名を残していない。初代ウォークマンである「TPS-L2」の原型になったモデル、程度の記憶しかない。確かに報道用途に徹した仕様であった。録音/再生はできるが、モノラルのみ。スピーカーとマイクを内蔵している。当時、アメリカ出張を控えていた名誉会長の井深大氏が、「また出張なんだが、『プレスマン』に、再生だけでいいからステレオ回路を入れたのを作ってくれんかな」と部下に命じたのが、ウォークマン開発のきっかけとなった。

 そのプレスマンであるが、TCM-100はボタンは全てメカ式である。無骨と言ってしまえばそれまでであるが、後々の初代ウォークマンを何となく感じさせるデザインだ。それもそのはず、初代ウォークマンの金型は、このTCM-100を流用していたのである。一方、TCM-7はよりスマートな仕様になっており、ボタン類は電子式スイッチになり、TCM-100のような凸凹が無い。但しテープカウンター等にはリセット用のボタンがある。カセット挿入時にカバーを開けた際のヘッドの位置も正反対に配置されており、この二台はかなり印象が異なる。

 初代ウォークマンは、従来製品であるプレスマンの無駄(録音機能と内蔵スピーカー)を省き、付加機能(ステレオ再生)を搭載した機種だった。そのDNAは、プレスマンTCM-100から受け継いでいた。こういうハナシを読むと、新商品のネタは実は身近に転がっているモノだなぁと、つくずく思う・・・

プレスマンシリーズの裏面。両機種ともに背面にスピーカーを内蔵している。左側がTCM-100、右側がTCM-7。
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TCM-100とTCM-7の違いは、操作ボタンを見ると良く判る。メカ式のTCM-100に対し、TCM-7は電子スイッチを奢っている。より進化し洗練されたモデルになっていることが判る。
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TCM-100(左側)とTCM-7(右側)の上面。マイクやカウンターの位置が異なる。テープ走行方向を示す矢印を見てもわかるように、ヘッドの位置も全く反対に配置されている。
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TCM-100の銘板。本体底部にシール貼付される。
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TCM-7の銘板。シールでは無く金型加工されたエンボス表記だ。
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テープ挿入カバーを開けたところ。TCM-100(左側)はヘッドが見えないが、TCM-7(右側)はヘッドが写っており、ヘッドの位置が全く逆であることが判る。
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三代揃っての記念撮影。TCM-100(左)、TCM-7(中央)そして初代ウォークマンのTPS-L2(右)。こうして比較すると、初代ウォークマンがTCM-100の金型を流用したということが良く判る。初代ウォークマン(TPS-L2)の「STEREO」の文字が誇らしい!
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