■水道塔ヲタの本「WATER TOWERS」 (2005/07/27)
 自分でも変な趣味だと思うのだが、筆者は水道塔、給水塔の類が好きである。本HPの「廃墟系」ページにも「駒沢給水所配水塔」「東京都水道局大谷口給水塔」を掲載しており、今後「都営戸山団地給水塔(東)」「都営戸山団地給水塔(西)」も載せる予定だ。余談だが、団地両端に2本の給水塔を配する戸山団地給水塔は、指輪物語に習い「二つの塔」という題名にでもしようか、と考えていたりする。閑話休題。この世の中には水道塔、給水塔に「異常」とも思えるこだわりを持つ人がいる。この「WATER TOWERS」という本は、その頂点に位置する稀覯本で、著者である「BERND and HILLA BECHER」は、ナント!夫婦なのだそうだ!!こりゃ参った驚いた!まさか、ここまでのヲタな内容を、しかも夫婦で出版しているとは!世の中、結構変わった方がおられるという見本のようなものである。
ヽ(`Д´) ノ

 さて、この「WATER TOWER」であるが、ハードカバー、224ページの豪華写真集だ。出版は1988年と若干古い。ISBN 0-262-0227-X。元々はドイツ語の本であったが、ここに掲載したのは英語翻訳版である。元本はSchirmer/Mosel Verlag社より出版されている。内容はと言うと、ヨーロッパに残る古風な水道塔、給水塔を、ただひたすら撮影し続けたものだ。とにかく、膨大な資料集となっている。煉瓦作りの古風なものもあり、トラス構造の現代的なものもあり、はたまたコンクリート製の60年代SF映画に出てくるようなものもある、といった感じで、実に主種雑多。このテーマだけで一冊の本が立派に仕上がっている。建造物の性格から、線路脇や工場敷地内で撮影されたものが多い。全て白黒写真だが、どれもものすごく鮮明に、しかもクールに写っている。この写真集には、総計223の水道塔が収録されているが、造形的にいくつかのカテゴリー・パターンに分類することができ、面白い。

 実はこの夫婦、この手の建築物には目が無いらしく、他にも「TYPOLOGIEN」という、これまた「ヲ」の字の写真集を出版している。この写真集は、水道塔のみならず、サイロ、プラントのエントツ、冷却塔、ガスタンク、ウィンチ巻き上げ機等々を、ただひたすら延々と撮影したものだ。ミニマル・ミュージックを写真にしたような本とでも言おうか?とにかくビョーキである。はっきり言って、この方たちにはとうてい敵うまい。こちらの写真集は1990年出版。ISBN 88814-417-5。出版社は同じくミュンヘンのSchirmer/Mosel Verlag社。この手の構造物を愛でる趣味は、筆者もとても良くわかる・・・
ヽ(´ー`)ノ

合掌!

WATER TOWERSより
左はドイツのElze/Hildesheimにあるもの。1979年撮影。民家の庭先に突出して建っている。右は同じくドイツのMulheim/Ruhrのもの。1963年撮影。こちらは既に廃墟となっており、窓ガラスは破損し煉瓦は剥がれている。


WATER TOWERSより
左はフランスのHomecourtというところにある給水塔。1982年撮影。右は同じくフランスのDieppeの給水塔。1972年撮影。どちらもコンクリート造りで、1960年代のSF映画を彷彿とさせる造形。まるでキノコのようだ!


WATER TOWERSより
左はベルギーのBeaufays/Liegeの水道塔。1979年撮影。右は同じくベルギーのKwaadmechelenにあるもの。1971年撮影。特に右側の水道塔は、一階入り口の階段部分を見ても判るように、とてつもないスケールのものである。


TYPOLOGIEN 表紙
WATER TOWERSの著者の第二弾!BECHERパワー恐るべし!今度は水道塔のみならず、あらゆるジャンルの「塔」に挑む。表紙は、15カ所のウィンチ・タワーを掲載したもの。


TYPOLOGIENより
プラントの冷却塔を集めたページ。


TYPOLOGIENより
もちろん、水道塔も掲載されている。このページには、アメリカ各地で撮影された、SF映画に出てくるような形状のものを掲載したもの。


TYPOLOGIENより
ウィンチ巻き上げ塔の数々。ヨーロッパ各地で撮影されたもの。廃工場に残されているものが多いようだ。


<< Menu Page


Copyright (C) Studio Pooh & Catty
2001-2005