■放浪の天才数学者エルデシュ (2005/07/07)

 エルデシュの名前は、2005/03/01付けのコラム「複雑な世界、単純な法則」を読んで初めて知った。かなりの奇人・変人であるということ、私有財産をほとんど持たず、すり切れた鞄一つかかえて世界を放浪していた天才数学者であったということで、大変興味を覚える。で、草思社刊行の本書をアマゾンで取り寄せて読んでみることにした。確かに、恐るべき天才であり、奇人であり、変人である!

 「放浪の天才数学者エルデシュ」は、一見伝記のようなタイトルではあるが、実際はエルデシュの奇行ぶりを紹介しつつ、数学界の有名な定理、原理を取り上げていて、そういう意味で数学界の啓蒙書として読んでも、結構面白い。筆者は数学には滅法弱い方だが、こういった本を読むと、自然と興味も涌いてくるというものだ。共著を含め1,475本の論文を発表したというエルデシュは、神のことをSF、子供のことをエプシロン、女性をボス、男性を奴隷、アメリカをサムと呼ぶなど、独自の言語を開発したそうで、なかなかユニークな考え方のヒトだったようだ。また、エルデシュと論文を共に書いた数学者はエルデシュ数1、エルデシュ数1の数学者と論文を共著した数学者は、エルデシュ数2、、、(以下略)と呼ばれている。

 アルゴリズムという言葉は、九世紀のペルシャの数学者、アブ・ジャファール・モハメド・イブン・ムサ・アル・フワリズミの姓に由来し、その名は代数を意味する「アルジェブラ」にも残っている等、思わず「へぇ〜〜〜」と思ってしまうようなトリビア的な内容も多い。超有名なフェルマーの最終定理の経緯にも触れており、本書はソフトな数学史入門書として、この本は結構イケてると思う。著者はポール・ホフマン。1,800円+税也。奇人・変人を目指すシトは必読の書である・・・

ヽ(´ー`)ノ

 【本書に記載されている問題の一つ】
 あなたがTVのゲーム番組に出演したと仮定する。番組の司会者から、3つのドア「1」「2」「3」のうち、どれか一つを選択するように求められる。一つのドアの後ろには、景品の自動車があり、他の二つのドアはハズレ。司会者はもちろん、どのドアの後ろに自動車があるかを、知っている。ゲームのルールは、例えば出演者がドア「1」を選ぶとすると、司会者は「2」か「3」のうちの、ハズレのドアをひとつだけ開ける。そこで司会者は出演者に、そのままドア「1」で良いか、それとも考えを変えてまだ開けていないもう一つのドアにするかを尋ねるとする。さて、出演者はどちらを選択すれば、自動車を獲得する確立が高くなるだろうか?(モンティー・ホール・ジレンマ)

 (答え)別のドアを選ぶ方が良い。そのままだと確率は1/3。ドアを変えると、確率は倍の2/3になる。

「放浪の天才数学者エルデシュ」 表紙


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