■SEIKOSHAとEIKOSHA (2005/06/15)

 趣味で金属製筐体のレトロ置き時計を集めているのだが、今回入手した2個はまるで瓜二つ。大変良く似ている。でもってメーカーもSEIKOSYA(精工舎)とEIKOSHA(英工舎)で、これまた「S」の字が入ってるかいないかだけの違いという代物だ。精工舎は現在のセイコーの前身として有名であるが、英工舎というメーカーは余り耳にしたことが無い。というわけで、ちょっと調べてみることにした。

 WEB検索でいくつか出てきたページを見ると、英工舎は正式には「株式会社鶴巻時計店英工舎」と称するのだそうだ。大正13年に東京は王子付近で創立され、昭和初期より置き時計の製造を開始したとのことである。面白いのはロゴマーク。一見複雑そうだが、良く見るとアルファベットの「T」「S」「U」を組み合わせた形になっている。ナルホド、鶴巻時計店のTSUruだからこういう形になったってワケだね!へ〜〜〜!ヽ(´ー`)

 それはともかく、この2個の時計は全然別の会社が製造したのにホント似過ぎている。今だったら意匠登録とかで問題になりそうなくらいだ。違いといえば、アラーム制御レバーの位置と文字盤の材質、表記程度のものか。精工舎はアラーム制御レバーが裏蓋側に付いているのだが、英工舎は本体上部に搭載している。精工舎の文字盤には「INTER-MITTENT」という表記があるが、英工舎の方は「ALARM-REPEATER」という記載だ。文字盤は英工舎はセルロイド製と思われる。文字盤下部にある{MADE BY SEIKOSHA TOKYO, JAPAN.」の表記は、位置までそっくり。それこそ「S」が入っているかいないかだけの違いしか無い。。。

 動作音もほとんど同じだ。メカ的にも大差無いようである。ケースは真鍮製でニッケルメッキが施されている。製造年は不明だが、色々と調べてみると、どうやら両方とも昭和初期の製品のようである。

 ・・・とまあ、こうして2個の時計を見比べてみると、色々とわかって面白い。精工舎のその後はご承知の通りであるが、他方の英工舎は昭和25年に倒産する。英工舎の工場はその後、自動車メーターや録音機の磁気ヘッド研究などに使用されたそうである。全く異なった運命を辿った両会社であるが、時計は今も元気にコチコチと動いている。製造後少なくとも60年以上は経過しているのに、である。メカモノは強い!

精工舎(左)と英工舎(右)の時計
文字盤の材質が微妙に異なっているのがわかる。その他、基本的なデザインはクリソツ。短針の造形は、精工舎の方が凝っているな。。。

精工舎(左)と英工舎(右)の側面
英工舎の方は、裏蓋が錆びで真っ黒になっている。裏蓋に搭載されたスタンドの形状もそっくり。

精工舎(左)と英工舎(右)の裏側
時刻合わせ、アラーム設定、ゼンマイの巻き上げ等、位置はほとんど同じ。但し裏蓋を本体に固定するビス位置が微妙に異なっている。

精工舎(左)と英工舎(右)のアラーム制御レバー
唯一決定的な違いがこれ。アラームのOn/Offを制御するレバー位置が異なる。SILENTにつするかALARMにするかの方向は、両方とも同一。

英工舎のロゴアップ
株式会社鶴巻時計店英工舎のロゴマークのアップ。TSUruの最初の3文字を図案化したものだそうで。。。文字盤はセルロイド製で現在でも充分にキレイ。

精工舎のロゴアップ
精工舎のトレードマークは、旧ロゴである。文字盤には材質に寄るものか、カビ状のものが見受けられる。「INTER-MITTENT」の文字が見受けられるが、意味は不明。。。


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