MODULAR CIRCUIT TECHNOLOGY

MCT-TURBO (FT-640) (1986)

写真1:MCT-TURBO (FT-640) MB 表面

■MODULAR CIRCUIT TECHNOLOGY(MCT)社製の
 IBM PC/XT互換マザーボード、MCT−TURBO(FT−640
 )。台湾製互換ボードをMCT社がOEM販売していた製品。なお、MCT
 社は米国の大手通販会社「JDR」に多くの商品を提供しており、日本から
 でも容易に購入することができた。                  
■ボードの外寸は30.5×22cm。製造は1986年後期。ボードのバー
 ジョンはV5.0                          
■CPUに8088−2(4.77/8MHz)を使用。ターボモードに設定
 することで、8088を8MHzで駆動できた。コプロセッサとして、  
 8087を搭載するLSIソケットを実装。              
■メインメモリはボードのスペック上は640KB(Max)となっているが
 本ボードでは41256(150ns製品)を使用し、1MBまで拡張され
 ている。メモリはSIMMでは無く16PinプラスチックDIPパッケー
 ジのDRAMを搭載。パリティビットを含む1列9個構成のDRAMを、 
 4バンク搭載している。                       
■拡張バスはXTバス(8ビットバス)を8個搭載。バスクロックは4.77
 MHz。                              
■ROMを128KB搭載。ROMチップはセラミックパッケージの2764
 を2個搭載している。ROM搭載用バンクは7バンク用意されており、残り
 5バンクは空きソケットとなっている。                
■使用周辺チップは下記の通り。                    
 ・μPD8255AC−2:プログラマブルI/O           
 ・μPD8237AC−5:DMAコントローラ            
 ・μPD8253C−2 :タイマ・コントローラ           
 ・μPD8259AC−2:割り込みコントローラ           
 ・μPB8288D   :バス・コントローラ            
 ・μPB8284AD  :クロック・ジェネレータ          
 ・MB81256−15(36個使用):DRAMメモリ        
■コプロの有無、RAM容量、ディスプレイカードの種類とFDDドライブの
 台数は、ボード上に搭載された8連のDIPスイッチで設定する。    
スイッチ番号
状態
設定内容
SW1
ON
使用不可
SW1
OFF
ノーマル・オペレーション
SW2
ON
8087コプロセッサ無し
SW2
OFF
8087コプロセッサ有り

SW3
SW4
設定内容
ON
ON
搭載メモリ0KB
OFF
ON
搭載メモリ128KB
ON
OFF
搭載メモリ192KB
OFF
OFF
搭載メモリ256KB

SW5
SW6
設定内容
ON
ON
ディスプレイアダプタ無し
OFF
ON
カラーグラフィックスアダプタ(40×20)
ON
OFF
カラーグラフィックスアダプタ(80×25)
OFF
OFF
モノクロームディスプレイアダプタ

SW7
SW8
設定内容
ON
ON
FDD:1ドライブ
OFF
ON
FDD:2ドライブ
ON
OFF
FDD:3ドライブ
OFF
OFF
FDD:4ドライブ


項 目
内 容
CPU 8088-2
CPU Clock 4.77MHz / 8MHz
Co-Processor 8087 コプロセッサ用ソケットを実装
Chip Set
無し(汎用TTL-ICで構成)
Momory
・16Pin DIP ソケット×36個搭載
・128/192/256/640 KB設定可能
Bus XT バススロット8本搭載
Bus Clock 4.77 MHz
BIOS MCT BIOS(128KB)
製造 1986 年製造

写真2:MCT-TURBO (FT-640) MB 裏面

写真3:CPU コプロセッサソケット周辺のアップ

写真4:PIO と DMAC チップのアップ

写真5:整然と並んだ DIP パッケージの DRAM チップ

写真6:DRAM MB81256-15 チップのアップ

写真7:汎用ロジック IC で構成された回路

写真8:XT バススロットと MCTーTURBO の捺印

■コメント                              
MODULAR CIRCUIT TECHNOLOGY社(MCT社)製の
IBM PC/XT互換マザーボード、MCT−TURBO(FT−640)
です。最もMCT社が設計、製造しているわけでは無く、台湾メーカーからの
OEM供給マザーボードとなっています。ボードの型番はFT−640。実際
の製造メーカー名は不明です。                     

MCT社といえば、アメリカのPC関連商品通販会社の老舗、JDR社に多く
の商品を出していたところです。JDR社は日本でDOS/Vが注目され始め
る前、1979年から、通販専門の会社として営業していました。日本でDO
S/Vが騒がれ始めた頃、国内ではまだ十分にPCパーツが供給されていませ
んでした。当時の自作派の廃人はJDRのような海外の通販メーカーから部品
を調達していたものです。                       

本ボードは、JDRのXT互換マザーボードの初期バージョンに相当します。
1993年のJDRカタログ#26を見ると、搭載されている同等製品は10
MHzまでクロックアップされたMCT−TURBO−10であり、ロジック
回路部分にもASICが用いられて集積化が図られています。因みに1993
年当時の価格は$99.95となっていました。ここに紹介したボードは、そ
の前バージョンに当たるもので、CPUクロックもターボモードで8MHzと
なっています。またロジック回路も、全て汎用のTTLで構成されており、そ
ういった面ではより本家オリジナルのPC/XTに近いものと言えます。  

当時はSIMMという便利なメモリ搭載手段が無かったため、DIPパッケー
ジのDRAMメモリをバンクにずらりと並べて搭載しており、基板面はかなり
壮観です。本ボードは、残念ながらCPUが欠品となっていますが、キーボー
ドコネクタのすぐ隣りに、8088と8087を搭載するソケットが付いてい
ます。CMOSメモリが無いため、システムの基本的なコンフィグレーション
は8連のDIPスイッチで操作します。CMOSが用いられるようになるのは
IBM PC/ATとその互換ボードからでした。            
写真9:1993年発行のJDRカタログ#26に掲載された同ボード

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